マスターバッチ用混練システム

今日のマスターバッチは、多くの場合、着色剤、充填剤、添加剤等、最終用途に求められる特定の性質を巧みに、また容易に得るための成分を凝縮させたものです。成分の多くはもともと粉末か液状であるため、マスターバッチでなければ扱いが難しく、相当な加工経費がかかってしまいます。これは例えば、確実な条件でのナノ粒子の取り込みや、特定の性質を得るため複数の添加剤を組み合わせるといったことにも当てはまります。配合成分を混練してマスターバッチにすると、できあがった粒状材料を計量して加工するのはエンドユーザーにとって非常に容易です。複雑なシステムではなく、たいてい標準的な機械で加工できます。

マスターバッチという名称は、当時、特に貴重で高価な添加剤を含む特殊なバッチの調合責任者を「マスター」と呼んでいた時代に由来するといわれています。これはまさに、正確に計量した混合物をプラスチックや基材と共に混練し、後加工に適したバッチにする、という今日のマスターバッチ生産そのものです。昔、マスターが担っていた役割は、マスターバッチ工場の装置オペレーターであるスペシャリストによって受け継がれています。

マスターバッチの製造方法は、基本的に3つあります。

  • 多くの場合、プレミックス法で行われます。配合成分をすべて固形形態であらかじめ混合します。多くは粉末状のポリマーも含みます。これを計量しながらブッスニーダーに投入し、混練します。
  • スプリット供給法では、ポリマーはブッスニーダーの溶融部へ供給し、添加剤はその下流で、必要な場合複数箇所で、投入します。
  • カラーマッチング法は、主要色を分割供給します。高品質用途にも適する迅速な色味調整、効率的な色変更が可能です。

供給箇所が複数あるため、ブッス・ニーダー独自の技術による生産能力は、こうした用途においてまさに傑出しています。その動作原理により、均一かつ適度なせん断速度で無数の混合サイクルが行われ、基材ポリマーの分量が最少でも最高の混合効率が得られます。せん断速度が適度であることの副次効果として、他のスクリュー押出機に比べて磨耗度がごくわずかです。ブッス・ニーダーは全ラインナップをモジュラー設計とし、あらゆる要求に容易に適用させることができます。ブッス・ニーダーは、ブッスが保有する広範囲の加工プロセス知識も相まって、フィラーマスターバッチの調合装置の第一選択肢となっています。

ブラックマスターバッチ

ブラックマスターバッチは、スプリット供給法で製造した典型的な単色マスターバッチです。カーボンブラックをベースポリマーまたは蝋質の基材に30~50%の割合で混合しています。カーボンブラックはそのほとんどがファーネス法で製造され、表面積が大きく、かさ密度が低く、特徴的水分吸着量を有します。これらの特徴が主として混練を難しくしています。カーボンブラック粒子は塊、すなわち物理的吸着力による集塊を作りやすい性質があり、これを分散させなければならないからです。ブッス・ニーダーでは、適度なせん断速度で迅速に混合し、中間緩和段階が設けられており、優れた分配混合効果が得られます。同時にこのせん断速度は、基材に影響を与えずにどんな塊でも確実に分散混合させることができます。また、カーボンブラックを数か所で供給でき、巻き込んだ空気や水分を計画的に放出することも、下流で積極的に脱気することもできるため、高い生産性と優れた製品品質が得られます。ブッス・ニーダーシステムは、多くの原材料生産者や、本分野において世界をリードする技術者の皆様から、ブラックマスターバッチの製造装置として数十年にわたり信頼を獲得してきました。

添加剤マスターバッチ

添加剤マスターバッチの製造は、使用する添加剤やその機能の多様性と同様に極めて幅広い分野です。最終製品に必要な特定の性質や活用範囲はこのマスターバッチにより付与されます。代表例には、UVカットマスターバッチ、帯電防止、粘着防止、潤滑、難燃マスターバッチ等があります。薬品ブロー成形用マスターバッチ等、温度の条件が極めて困難なものもあります。その製造には、高投入量、各種添加剤の集塊条件、原材料や最終製品の厳しいせん断と温度条件に至るまで、極めて多様な要求事項があり、どれにも適用できる装置が求められます。ブッス・ニーダーは、オールラウンドに優れる最高の装置として、著名な専門家の皆様に認められています。装置設計には自由度があり、的を絞った構成にすることで、変化する新たな可能性が切り開かれました。への要求事項に的確に対応することができます。

ヒンジ接続のバレルと格納式のハウジングのおかげで内部へのアクセス性が高く、製品切替えに極めて迅速に対応でき、高い稼働率が得られます。ブッス・ニーダーは、ブッスの保有する広範囲の加工知識も相まって、添加剤マスターバッチの調合装置の第一の選択肢となっています。

フィラーマスターバッチ

フィラーマスターバッチ製造は、マスターバッチ生産における特殊分野です。充填剤は、マスターバッチ中に高配分量(時に80%超)が必要な場合、通常粉末状です。かさ密度、粒度分布、その他界面の性状によって扱いが難しいことがあり、特別な手法や装置が必要です。フィラーマスターバッチは、普通の粒状成分同様に混練でき、最終製品に必要な充填剤濃度まで薄められます。高品質で優れた分配性は、フィルムブロー成形用マスターバッチが最高水準です。用途例の一つにレジ袋用マスターバッチ生産があり、85%と高い炭酸カルシウム量は40~50%に薄めてからフィルムブロー成形工程に送られます。

マスターバッチ混練機の典型的な工場内レイアウト

マスターバッチ混練機の典型的な工場内レイアウト

ブッスのマスターバッチ混練システムには、以下のような優位点があります。

  • 低比エネルギー入力での強力混練
    種々のスクリュー羽根の選択が可能な新型混練機COMPEOでは、必要に応じて各プロセスセクションでの混練サイクル数を増やすことで、従来より15~40%低いエネルギー投入での混練プロセスを改善しました。溶融や混練のエネルギーは、ほぼ全てが機械的に供給されており、せん断速度により供給速度を最適にコントロールしています。
  • ポリマーやカーボンブラックなどの高構造化材料への損傷を抑制
    ブッス・ニーダーの均一で適度なせん断速度が、制御されたせん断と低温のプロファイルを実現し、カーボンブラックなどの高構造化材料やファイバー構造への応力を他のシステムと比較して大きく低減しました。これにより機械的、電気的性質や流動特性が改善し、高価な配合成分の消費を抑えることができます。
  • 強力な分配混練
    ブッス・ニーダーは、スクリューの回転と軸方向の往復動により、伸長流や多数のせん断界面、クロスチャネルミキシングを生成して、強力な分配混練を実現しています。
  • より多量のフィラー投入
    ブッスの混練技術では、2または3か所に供給口を分けたり、サイドフィードスクリューなどの供給方法の採用、フィラーの重量による独立供給、バックベントによる混入した空気の除去、優れた搬送効率などにより、最大90%のフィラー投入が可能です。適度なせん断速度により、このような高投入量でも極めて高い粘性の材料を扱うことができます。
  • 1つのスクリュー構成でさまざまな配合や吐出量に対応
    1つのスクリュー構成でさまざまな配合のプロセスに対応することは簡単ではありませんが、ブッス・ニーダーの往復動スクリュー技術はこの点でも大変定評があります。これは、多くの他のシステムと比較してプロセス長が通常、半分と短くなっていることや、調整可能な適度なせん断力、スクリュー構成の高い柔軟性によるものです。

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