繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)

プラスチック基材における充填剤の役割は基本的に2つあり、コンパウンド材料特性の高機能化(例えば、呼吸できるフィルムや音を吸収する配管など)とコスト削減です。

フィラーとポリマー基材の間の相互作用においては、次の3つのポイントが鍵になります。

(1)粒子形状: ガラスビーズやCaCO3、BaSO4のようにアスペクト比が小さいと普通弾性率が向上し、タルカム、ケイ灰石のようにアスペクト比が大きいと引っ張り強度、引裂き強度、さらに弾性率が向上します。

(2)粒度分布は、フィラーが作用する度合いに影響します。ここで重要なのは、粒径1 μmより大きい粒子間に働くファンデルワールス力と、粒径10 μmより小さい粒子にブッス・ニーダーが分散のために与えるせん断力です。

(3)フィラーの表面積: フィラーとポリマー鎖が結合しうる点の数は、フィラーの比表面積(m2/g)に依存します。フィラー表面積が大きいほど、結合点が増え、強い(剛性、引っ張り強度、引裂き強度、衝撃強度が大きい)材料になります。表面光沢にも優れます。

表面コーティングもまた重要な側面です。例えば、集塊形成、扱いやすくする材料流動性、混練中の十分な濡れに影響します。

繊維強化熱可塑性プラスチックの混練要件

ブッスが保有する加工プロセス知識は、高充填コンパウンドにとって重要です。マテリアルフローを最適に分配させる他、フィラー充填時に巻き込まれた空気や水分にも特に配慮しなければなりません。そのため加工プロセスは、最適に構成する必要があります。適切に構成されたブッス・ニーダーでは、その大きな生産能力とトルクによって、こうしたハイエンド材料の効率的生産を可能にします。

オールラウンドに優れる圧倒的な品質、非常に広い設定範囲により、ブッス・ニーダーは、タルカム、二酸化チタン、硫酸バリウム、さらにアルミニウムやマグネシウムの水酸化物といったフィラーを使用した、極めて広範なプロセスを扱うことができます。せん断速度が適度であることのプラスの副次効果として、他の押出機に比べて磨耗度がごくわずかです。モジュラー化された設計とそれによる混練ラインの柔軟な適用性によって、ブッス・ニーダーは充填強化熱可塑性樹脂の製造装置として最高の選択肢となっています。

強化プラスチック・コンパウンドによる赤色の自動車は、自動車産業におけるFRTPコンパウンドの重要性を表す一つです。

FRTP混練システムの典型的な工場内レイアウト

FRTP混練システムの典型的な工場内レイアウト

ブッスのFRTP混練システムには、以下のような優位点があります。

  • より多量のフィラー投入
    ブッスの混練技術では、2または3か所に供給口を分けたり、サイドフィードスクリューなどの供給方法の採用、フィラーの重量による独立供給、バックベントによる混入した空気の除去、優れた搬送効率などにより、最大90%のフィラー投入が可能です。適度なせん断速度により、このような高投入量でも極めて高い粘性の材料を扱うことができます。
  • 均一で適度なせん断速度
    均一で適度なせん断速度により、作業として必要なせん断のみを行い、低温での混合材料の混練の制御を可能にします。他のシステムと比較してせん断速度の分布が小さいため、全ての粒子のせん断履歴を均一にすることができ、より小さな投入エネルギーにより高品質な混合材料を得ることができます。
  • ポリマーやカーボンブラックなどの高構造化材料への損傷を抑制
    ブッス・ニーダーの均一で適度なせん断速度が、制御されたせん断と低温のプロファイルを実現し、カーボンブラックなどの高構造化材料やファイバー構造への応力を他のシステムと比較して大きく低減しました。これにより機械的、電気的性質や流動特性が改善し、高価な配合成分の消費を抑えることができます。
  • 低比エネルギー入力での強力混練
    種々のスクリュー羽根の選択が可能な新型混練機COMPEOでは、必要に応じて各プロセスセクションでの混練サイクル数を増やすことで、従来より15~40%低いエネルギー投入での混練プロセスを改善しました。溶融や混練のエネルギーは、ほぼ全てが機械的に供給されており、せん断速度により供給速度を最適にコントロールしています。
  • 正確な温度制御
    ブッス・ニーダーは、入力エネルギーのコントロールおよび均一で適度なせん断速度に加え、熱電対を内蔵した混練ピンをバレルに沿ってあらゆるところに設置することで、まさに混練中のポリマーの中の温度を高精度にモニターすることにより、より正確な温度制御を実現しています。

さらに

FRTPの典型的なプラントレイアウト

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